2020.02.09

資金調達をしすぎると倒産するという話

ライナフは、過去に資金調達を4回実施し、合計8億円ほどご出資いただいております。

ありがたや、ありがたや。

さて、この8億円という調達額は、多いのでしょうか?少ないのでしょうか?

もちろん、8億円が少ない!なんて言うと、その時点で炎上するし株主にも怒られそうなので言いませんが、今回のブログの趣旨は、これを多いと見るか少ないと見るか、というよりも、僕の実感地として「このぐらいの調達でよかった・・・」というお話です。

最近は、ベンチャーの資金調達環境が大変よろしく、10億円を超える調達をしているベンチャー企業がザクザクいます。

その理由の一番は、大手企業が儲かっているからです。大手企業は儲かったそのお金で「社内に新規事業を作ろうとすると、不採算には厳しくせざるを得ないし、優秀な社員をそこに張り付けるとそのラインの役員や部長クラスがうるさいし、無謀なチャレンジを許容すると社内の規律が緩むから、社外で新規事業をやっていて、一発当てそうなところにお金だけだそうっ!」という流れで、ベンチャー投資をするからです。

つまるところ、神々の、遊び。(言いすぎか)

上記のような流れが、オープンイノベーションとかアクセラレーションとかクロステックとか、いろいろなかっこいいカタカナでコーティングされて、社内の稟議を通って、ベンチャーに資金がザクザクと供給されています。ITバブルを思い出しますね。

本題に戻ります。

ライナフの過去の調達の金額ですが、1.5億円→3.9億円→3.2億円→1億円、という流れで調達をしています。

で、その間に、とても試行錯誤を繰り返し、モノ作りの分野に参入したことをたまに後悔したり、事業の選択と集中が甘くてリソースが分散したり、社内のカルチャー作りに苦労したり、SONYやリクルートが参入してきて冷や汗をかいたり、出資の約束をギリギリで反故にされて死にかけたりしながら、生き残ってきました。

そして、その5年の歴史の中で、社長の僕自身も大きく成長し、「新規事業やれやれーGOGO!失敗したらその時までだー!それも、人類の発展の一歩だー!」という感じから、「ふむ、このモデルなら粗利率が高く数量も売れる。固定費と変動費は比較的予測もできるから、コントロールしやすい。最終的に踏み込む前に、マイルストーンとしてこの数字を達成してから、一気に投資に踏み込もう。」という具合に変わっていきました。

で、今振り返ると思うのです。

もし、最初の調達でまとめて8億円をもらっていたら・・・・きっと、ライナフはつぶれていた・・・。

資金調達をする場合、だいたい、その資金を1年~2年で使い切る計画をたてます。短期間にそれだけの資金を集中的に投下することで、通常だと5年くらいかかる開発だったり普及率だったりを、短期間に行うのです。まさに、時間をお金で買う、です。

その調達したお金が、1億でも、10億でも、100億でも、2年以内には使い切る計画をたてるのです。

その結果、1億を調達した会社は社員10名程度にし、10億を調達した会社は社員50名程度にして広告費に5億円くらい使い、100億を調達した会社は社員を200名程度まで一気に増やして広告費に50億円くらい使ったりします。

これらが、計画段階で決まっています。

そう、その製品が本当にヒットするかどうか?売って大丈夫な品質か?世の中に必要とされているか?そういった根本的な答えが出る前に、その計画は決まって走り出すのです。

もし、その製品がヒットしなかった場合、1億円の会社はもう1億を調達すれば生き残れますが、10億調達した会社は10億円ないと生き残れないですし、100億を調達した会社は100億がないと、会社が維持できません。なぜなら、固定費が高いから。

もし、ライナフが最初から8億円を調達していたら、僕は最初のスマートロック1号機が順調に売れるのを前提とし、社員を増やし、広告をうっていたと思います。

しかしながら、その当時はまだ、AndroidスマホにおいてBluetooth4.0以上が搭載されている割合は3割程度。さらに、1発目のモノ作りのため、改善余地の多い製品だったことは否めません。

そのような状況で多額の資金を受け取ってしまうと、計画を達成するために固定費を増やす必要があり、一度そうなってしまったら、そこから風呂敷をたたむのは容易ではありません。

最近、SoftBankビジョンファンドから多額の投資を受けたベンチャー企業が、次々にリストラを発表しているのも、予想よりも事業の進捗が遅いため、固定費の削減に動いたからです。

僕に、10億や100億を使いこなせるだけの経験や能力があれば、そのお金は有効に使われると思います。

しかし、5年前の僕にはその能力は明らかになく、1億円だって使いこなせていませんでした。資金調達は、経営者の能力の成長とともに増やしていくべきです。

お金はあったらあっただけ良いと思っていた時期もありましたが、今はお金は必要なときに必要な額だけあればよく、それ以上あると、何かが狂うと思っています。