「空飛ぶタイヤ」を読んで
読書感想文です。
池井戸さんの代表作品の一つである、空飛ぶタイヤ、を読みました。
めちゃくちゃ分厚い文庫版で。
概要を説明しますね。
親の代から続いている運送会社を経営している社長さんが主人公です。
その運送会社のトラックのタイヤがカーブで外れて、30代の女性の背中に直撃し、死亡させてしまいます。
で、運送会社は社会的にも問い詰められ、女性の旦那からは訴訟を起こされ、取引は打ち切られ、銀行の融資は引き上げられ、会社として死にそうになります。
でも、「整備には絶対の自信がある」社長は、トラックそのものがおかしいのではないか、と製造元の財閥系自動車メーカー(モデルは三菱自動車です)に、事故後回収された部品の返却を求めます。
すると、財閥系自動車メーカーは、かたくなに部品を返しません。
お、これは怪しい、と。
この自動車メーカーは、社内でも自社の車が欠陥であることを知りつつ、隠し続けているのです。
話は、社長さんサイド、この事件のせいでいじめられる子供サイド、欠陥を隠すメーカーサイドの3点で話が進みます。
ものすごく長い小説なのですが、全体の8割、苦しむ話で、ラスト2割で状況が良くなっていくので、読んでる最中は苦しいです。
さすが池井戸作品。
いやーー、面白かった。
主人公が経営者をしている小説は、以前に増して、読んでいて面白くなりました。
特に、資金繰りの緊張感、血の気が引く感じ、ってサラリーマン時代にはわからなかったものが、経営を始めてからものすごくよくわかるようになりました。
僕もライナフを立ち上げてから、何度か、頭と手足の血がすーーっと引いて、冷たくなる瞬間を感じたことがあるので。
読んでいる8割の時間は苦しい小説ですが、2割ですっきりしますので、前半で投げ出さない自信がある方にはぜひおすすめです。