お金がたくさんあるということは、不自由である。
最近、ベンチャー企業の資金調達の環境が良くなっていて、以前だと考えられなかったような、10億円以上の調達がぽんぽんとリリースをされています。
まだプロダクトがマーケットにフィットする前、数字の結果が出る前の、シリーズAという調達タイミングで、10億円以上を調達する企業も増えてきました。
ライナフが最後に、ベンチャーキャピタルから成長資金を目的として調達したのは、2018年1月なので、約3年前になります。
その後の調達は、調達が目的というよりは資本業務提携が目的でした。
3年間、調達をせずに、事業を黒字へ持って行く過程で、感じたことは、
「調達しすぎなくてよかった。」です。
資金調達をすればするほど、一見、選択肢が増えて自由になるように感じますが、実は、逆なんだと思います。
資金がたくさんある、ということは、選択肢がたくさんあり、逆に「なぜその選択をしないのか?」ということも考えなくてはいけないのです。
例えば、手元に10億円があれば、テレビCMを打つこともできます。
では、なぜテレビCMを今、打たないのか?ということを、説明する必要があります。
また、急激な成長を求められるため、経営者やチームが未成熟なまま、大量採用をする必要が出てきます。
大型の資金調達をした場合の使い道の多くは、①採用 ②大規模な広告 の2つです。
では、経営者として3年も経験していない人が、上手な採用ができるか?プロダクトにあった広告が打てるか?そもそもプロダクトは広告を打つレベルまで成熟しているのか?というと、いずれも、疑問符がつきます。
幸いなことに、ライナフは設立してから6年が経過し、ここまで成長を続けてこれていますが、すでに、同時期に立ち上がったベンチャー企業の中では、成長が頭打ちとなり、リストラへ踏み切った会社が数社あります。
大量採用を決行すれば、その分だけ、資本金を食いつぶすスピードは上がります。
それまでの間に、経営者と、プロダクトの成長が追い付いてくるか・・・・。
大型の資金調達に依存せずに、ここまでこれたことが、結果、ライナフを強い会社にできたのだと、思っています。
お金があることは、実は、不自由なことなのです。