ガバナンス、とは何か
最近、ベンチャー企業の間で、「ガバナンス」という言葉が注目されています。
「ガバナンスがなっていない!」
「ガバナンスなんて抽象的な言葉で誤魔化さないで具体例を出してくれ!」
「そういうことをいう時点で、ガバナンスを全く理解していない。」
「だから、ガバナンスって何なんだよ!」
と、こんな感じで平行線の議論があったりします。
僕は、銀行員時代に、このガバナンス、について、かなり感覚が養われたので、今となってはありがたい限りです。
この、ガバナンスについての感覚がわからないと、上場企業のような社会的公共性の高い会社を目指す際に、証券会社や監査法人とケンカをすることになります。
私企業から脱却し、上場企業になるうえでは、ガバナンスは必須です。
では、ガバナンス、とはいったい何でしょうか?
一言で言えば「悪いことをできない状況を作る」ということに、つきます。
悪いことをする可能性がある人としては、社員も入りますが、一番警戒されているのは、社長です。
社長への監視の目が、一番、緩くなりやすいからです。
上場企業や出資を受ける企業は、社長のお金で作られた会社ではなく、投資家のお金をお預かりして作った会社です。
その会社において、社長も含めて、悪いことができる環境が出来てしまうことは、避けなくてはいけません。
以下の状況は、ガバナンスが欠如している、と言われる状況です。
・トップダウンで物事が決まるが、重要な決定について、会議が開催されず、また開催されたとしても誰も反論を許さない雰囲気である。
・経営者の親族の会社に、仕事を発注する。
・経営者の知り合いの採用において、誰も面接をすることなく入社をする。
・個人的に利害関係がある人(お金を貸したり、個人的に出資をしていたり)する人へ、会社のお金で発注をしたり、出資をしたりする。
・経理がお金の管理を一人でしている。
・仕事を受注する営業が、請求書の発行もしている。
いずれも、会社のお金を、何らかの形で横領したりすることができる事例になります。
そして、会社のお金を一番、横領しやすいのが、最高権限を持っている社長なのです。
ガバナンスについて語られるとき、その半分以上が『社長が悪いことをしないように』という発想で作られているため、社長が「自分のことを疑うのか!誰よりも会社のことを考えているのは僕だぞ!」って言ってしまった瞬間に、証券会社や監査法人から「この人はガバナンスがわかっていない。」と烙印を押されてしまいます。
株主からのお金を守るために、社長も、役員も、社員も、みんな会社のお金を私欲に使わない、悪いことをしない、ために、考えなくてはいけないのが、ガバナンス、なのです。