ボランティア経験はビジネスに役立つのか
自分が就職活動をしていた13年前、集団面接のときにボランティア活動の実績をPRしている女性がいました。
僕はそれを横で聞きながら、「悪い話ではないのだけれど、受かる気がしないなぁ。」と思っていました。
ちなみに、僕はビックカメラでパソコンを販売していた実績と営業力をPRしていました。
ボランティア経験は、企業で働くうえで、つまりビジネスにおいて役に立つと判断されるでしょうか?
答えは、NOだと思います。
ボランティアは対価(お金)をもらわずに、奉仕をする活動であって、その結果、「ありがとう」の言葉をもらいます。
一方、一般的に企業の活動は対価(お金)をもらって、その結果、「ありがとう」と言ってもらえないのが普通です。
コンビニで買い物をしたとき、レストランで食事をしたとき、あなたは必ず「ありがとう」と言っていますか?
「ありがとうございました。」と店員さんに言われることはあっても、お客が必ず「ありがとう」ということはないでしょう。
ボランティアで培われる奉仕の精神は、ビジネスの現場においては阻害要因になることがあります。
例えば、一つ一つ、何かをやってあげるたびに手数料を取ること。
「このくらいタダでやってよ!」と言われても、手数料を請求すること。
お客さんにクレームを受けること。
感謝ではなく文句を言われること。
学生時代にボランティアの経験が豊富になればなるほど、これらへの抵抗感が強くなるのではないでしょうか。
ボランティアを否定するものではありません。
ボランティアとビジネスは全く別のモノ、むしろ相反するものであるということを理解するべきだというお話です。
例えば、高齢者の家の庭木を切るボランティアをやったとします。
本人は対価をもらわなくても構わないと思っており、高齢者はタダでやってもらって、「ありがとう」と伝えて、お互いハッピーです。
でも、庭木を切ることを仕事にしている人たちの気持ちはどうでしょうか?
自分たちが対価をもらって、庭木を切って、それで生活している人たちにとっては、無料でやられてしまっては商売になりません。
ボランティアで作業をする、ということは、一方で、それで生計を立てている人たちの仕事を奪うことである、ということを、理解した上で、ボランティア活動をするべきだと思うのです。
こんなことばかり書いていると、滝沢はボランティアをまったく理解していないと言われそうなのですが、僕自身、中学時代も高校時代も、様々な形でボランティア活動に参加しています。
ボランティア活動を批判したい訳ではありません。
本当に必要とされるボランティアは何か、を考えた方が良いということです。
本当に必要とされるボランティア活動とは、資本主義になじまない分野である、ということです。
対価を払う能力のない人への奉仕活動
これが、ボランティアの本来あるべき活動ではないでしょうか。