大企業が参入するとベンチャーは潰されるのか?
よく投資家さんから、「同じモデルを大企業がやればすぐに潰されるでしょ?」的な質問をされることがあります。
しかし、実際にSONYやリクルートがスマートロックに参入したり、ホームズが内覧予約システムを提供したりと、大手企業の参入を何回も受けていて感じるのですが、ベンチャーは簡単には潰されません。
ここで、僕がベンチャーが潰されない理由を書いてみます。
1:大手企業よりも意思決定が早い。
同じサービスを大手企業がリリースしたとしても、その後の改善のスピードが全然違います。
エンジニアの数は大手企業の方が多かったとしても、ベンチャーの方が早い、なんてことは良くあります。
2:経験値が違う。
市場を開拓してきたベンチャーと、ベンチャーのサービスをマネして参入してきた大手とでは、表向き目に見えない部分での大きな経験値の差があります。
なぜこの機能が必要なのか?
苦労して学んで機能を作ったベンチャーと、それを真似した大手とでは理解度が違うのです。
3:新規事業へかけるリソースが違う。
例えば、ライナフはスマートロックの開発や改善に多くのお金とリソースを全力で投入しています。
では、大手企業が同じことをすぐにするかというと、難しい。新規分野への大きな予算を付けるのは並大抵のことではありません。
先行するベンチャーがよほどの実績を見せない限り、多額の予算を付ける稟議が下りないからです。
そして、ベンチャーが実績をつけたころには、「今から後追いして勝てるの?」状態です。
4:事業責任者の本気度が違う。
上記の全ての理由の根源はここだと思います。
ベンチャーの場合、社長が人生をかけてその事業に取り組み、足りないリソース、お金も人も、全力で引っ張り、多くの人を説得し、何が何でも成功させようとします。
しかし、大手企業になればなるほど、悲しいかなサラリーマンとしての能力が高くなり、大きな失敗はできない、大きなリスクをとることはできない、会社から認められている活動範囲も限定的です。
そして、死ぬ気で取り組んでも、その先に待っているご褒美は「出世」です。
以上の理由から、ベンチャーと同じ分野に大手企業が参入をしてきても、簡単にはベンチャーは潰れません。
もし、潰れる可能性があるとしたら、一番の理由は、
「大手企業が参入したからベンチャーは潰れるだろう。」という先入観により、資金調達が出来なくなることです。
結局は、これも風評被害の一つですね。