大きなマーケットを狙わない
大きなマーケットを狙わない、という戦略の重要さに気づいたのは、1年前です。
ちょうど、最初の不動産時間貸しサービス「シェアルーミング」を作り終わり、営業活動を始めているときに、「あ、これはやばいな。」と思ったのを覚えています。
シェアルーミングは、あらゆるスペースの時間貸しに対応させた万能なサービスかのように作っていったのですが、実際にセールスをし始めると、貸し会議室、コーワキングスペース、休憩スペース、キッチンスペース等、あらゆるスペースから「イマイチ機能が足りない。」と言われる、中途半端なサービスになってしまったのです。
また、どこに営業を仕掛けるか?という問題についても、営業対象の範囲が広すぎて絞り込めず、片っ端から営業をかけるしかなかったり、広告を打つにも範囲が広すぎて広告宣伝費が無限に広がりそうで心配になりました。
そして気づいたのです。
あ、ベンチャーって最初は大きな市場を狙っちゃいけないんだ、って。
大きな市場を狙う一番の問題は、やはり認知にかかる広告宣伝費だと思います。
例えば、スマートロックを一般ユーザーの人に広く届けよう!と思ったら、いくらの広告宣伝費が必要になるでしょうか?
たぶんスマートロックの現時点での認知度は5%以下で、これを引き上げるためには膨大なテレビCM&インターネット広告が必要になることでしょう。
テレビCMをやれば必ず売れる、というわけではないので、失敗したら会社はそれで潰れます。
一方で、スマートロックを不動産管理会社に届けよう!と思うと、やる行動はかなり決まってきます。
不動産会社向けのセミナーで紹介したり、業界紙に広告を出したり、業界のイベントに出展したり、です。
ベンチャーの段階では、これこそが重要な戦略で、ニッチマーケットで勝ち、成功パターンを見つけてから徐々に大きなマーケットに移行をしていかないと、膨大な広告費で死にます。
ライナフが貸し会議室専用のサイトを作って伸ばしていることや、不動産管理会社向けのサービスに特化しているのを、小さなマーケットに進んだなー、と言っている方々は、たぶん、ベンチャーの経営をやったことがない人です。
ターゲットを絞ることは、ベンチャーにとって最重要なことなのです。