ベンチャー企業にIoTをオススメできない5つの理由
ライナフはIoT分野に取り組み、製品の量産までこぎつけることができたのですが、正直なところ、他のベンチャーにはこの分野はあまりオススメする気になりません。
理由は5つあります。
1.お金がとてもかかる。
IoTはモノ作りの分野なので、パソコンとネット環境さえあればプログラムが作れるいわゆるIT分野とは違い、初期投資にけっこうなお金がかかります。回路の開発だけならそうでもありませんが、金型まで作るとなると、1,000万円ではきかないでしょう。
ソフトを作って、回路を作って、金型を作って、と製品を販売するまでに1年以上かかるのが普通で、その間はお金は出ていく一方なわけで、けっこうな資金体力があるか、エンジェル投資家がいないと無理だと思います。
2.利益率が高くない
プログラムという無形物がお金になる分野と違い、モノの対価にお金を払ってもらうため、ゲーム会社や純粋なシステム会社に比べて利益率はさほどよくありません。
3.利益率の割に在庫リスクがある
これは、量産との表裏一体なのですが、量産体制を整えて量産すると在庫リスクが発生します。かといって、在庫リスクをとらずにモノ作りをすると、量産ができないため生産コストがあがりますし、納期も遅くなります。
4.量産が大変
量産できる状態に持っていくのがとても大変です。大手メーカーの力を借りずに量産するとしたら、各部品にあった生産工場を開拓する必要があります。金型工場も必要です。クラウンドファンディングで資金を集めたIoTベンチャーの商品のほとんどが、約束の期日に商品を届けることができないのは、この量産が難しいからです。
5.法令対応、サポート、その他が大変
どの分野にも法令はありますが、IoT分野のほとんどは、電波法、電気商品安全法の許認可が必要です。また、売った後のサポート体制、製品保証など、少人数では対応するのが大変な苦労が待ち受けています。
それでも、Bluetooth4.0の登場やWifiの普及など、時代はまさにIoT分野が活躍できる状況に変化しています。苦労を覚悟でこの分野にチャレンジされたベンチャーの方は、ぜひ一度、お酒を飲んで苦労話をしましょう。