再配達の現状と運送会社への影響とは。再配達を減らす方法を紹介
ほとんどの人が荷物の再配達を依頼した経験を持っているでしょう。手軽に日用品などを購入できるため、荷物の個数は年々増えています。一方で、運送会社やドライバーは再配達による影響を受けています。
今回は、再配達の現状や影響、再配達を減らす方法について解説します。
目次
【再配達の現状】
そもそも、再配達はどれくらい発生しているのでしょうか。再配達の理由とあわせて見ていきます。
-再配達の個数は6億個
国土交通省が実施しているサンプル調査によると、2022年10月期の再配達率は約11.8%でした。再配達率は2020年以降ほぼ横ばいですが、再配達される荷物の個数は年々増えています。それは、荷物の個数が増加の一途を辿っているためです。国土交通省の発表によると、2016年からの5年で約9.3億個が増加し、2021年度は約49.5億個、2022年度は約50億個の荷物が流通しています。
つまり、荷物の総数が50億個とすると、約6億個の荷物が再配達されているのです。
再配達には、当然ながら配達する車両やスタッフの稼働が欠かせません。わかりやすくドライバーの人数に置き換えると、再配達に必要な労働力は年間で約6万人分です。労働生産人口の減少やドライバー不足が叫ばれるなかで、約6万人分の労働力は非常に大きな負担であるといえます。
また、再配達のトラックから排出されるCO2は年間で約25.4万トンに上ります。これは、約1,800本の杉の木が1年間かけて吸収するCO2の量です。環境への影響においても、再配達の増加は問題となっているのです。
-再配達の理由
国土交通省が2022年に行った調査によると、再配達の理由は「配達日時が指定できない商品だった」が32.3%、「配達に来ることを知らなかった」が22.2%でした。その他、「いつ来るか意識したことがない」「配達に来ることを忘れていた」「在宅していたが手が離せなかった」などの理由もあります。
いつでも手軽に商品を購入し、自宅で受け取れる便利な世の中だからこそ、再配達も発生しやすくなっているのでしょう。
【運送会社が直面する厳しい現状】
再配達の増加だけでなく、運送会社は大きな問題に直面しています。
-ドライバー人口の減少
物流業界のドライバー人口は約84万人といわれていますが、実は2012年以降ほぼ横ばいです。荷物の個数は年々増加しているにも関わらずドライバー人口が横ばいであることから、ドライバー不足といわれるのは当然といえるでしょう。
これは少子高齢化の影響、ドライバーという職業の待遇やイメージなど、複数の要因が考えられます。また、準中型免許や中型免許の取得が必要といった制度面からも、誰でもすぐになれる職業とはいえない点も影響しているでしょう。
-2024年問題
働き方改革関連法により、2024年4月1日以降は自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生すると予測される問題の総称が2024年問題です。
ドライバーの高齢化や人手不足、荷物の個数増加などの影響を受けて、長時間労働をせざるを得ない状態が続いてきました。そのため、年間時間外労働時間の上限を設定し、ドライバーの労働環境を改善するべく法律が施工されます。労働環境の改善そのものは良いニュースですが、すぐにドライバー人口が増えるわけではないため、運送会社は現在の人数・荷物の個数のまま、労働時間だけを短くする必要に迫られています。
そのため、このままでは再配達により運送会社のキャパシティがオーバーしてしまうリスクが高まってしまうでしょう。
【再配達が及ぼす影響】
直接的には運送会社やドライバーへ影響があるものの、いずれは利用者にも関わってくる可能性はゼロと言い切れません。送料無料や翌日配送といった便利なサービスは、運送会社の努力によって成り立っているためです。
-ドライバーの負担が増加
一般的に配送ルートにあわせて荷物を積み込み、予定したルートで荷物を届けます。そこに再配達が入れば、移動距離と時間が増えることはもちろん、不在通知票の記載や荷物を持ったままの移動など、細かな時間の積み重ねがあります。そのため、単純にドライバーの負担が増加してしまいます。また、不在が続くと気持ちの面でも負担が増すでしょう。あまりに再配達が多いと時間指定の配達への影響やドライバーの残業増加など、さまざまな面で負荷がかかるといえます。
-運送会社の生産性が低下
配送にあたりトラックの維持費やガソリン代、ドライバーの人件費など多くの経費が発生します。再配達が増えればその分のガソリン代や人件費が必要となり、運送会社の利益に影響が出てしまいます。ドライバー不足な昨今、給与を上げたりワーク・ライフ・バランスを整えたりしなければ増員が難しいことからも、再配達の増加による運送会社の生産性低下は大きな負担となるでしょう。
-配送料金の値上げや再配達の有料化の懸念
多くのECサービスが送料無料で利用できますが、運送会社の生産性が低下した場合はコストを吸収できなくなるかもしれません。そうすると送料の値上がりは避けては通れないでしょう。また、現在は再配達も無料ですが、あまりに再配達が増えた場合は同様の理由で有料化されるかもしれません。便利なサービスの裏には、それを支える体制が万全である必要があります。ECサービスや運送会社はさまざまな工夫をしていますが、値上げや有料化の懸念があることは頭の片隅においておきたいところです。
【再配達を削減するためにできること】
再配達はほんの少しの行動で減らすことが可能です。簡単にできる方法を4つ紹介します。
-時間帯指定の活用
日時指定が可能な場合は、できる限り1回で受け取れるように時間帯を指定しましょう。急きょ予定が変わった際は、運送会社が提供するサービスを使うことで配達日時や受け取り場所の変更ができるケースも少なくありません。再配達は受け取る側もストレスがかかるため、時間帯指定を有効活用することをおすすめします。
-配送状況の通知サービスを活用
ヤマト運輸や佐川急便など、運送会社は配達日をお知らせしたり日時指定したりできるコミュニケーションツールを提供しています。通知サービスを活用することで荷物が届くことを認識できるうえ、手軽に日時や場所を変更できるため、1回で受け取りできる可能性が高まるでしょう。
-宅配ボックスや置き配、コンビニ受け取りなどの活用
荷物を受け取るタイミングがない場合は、宅配ボックスや置き配を利用すると便利です。在宅していなくても受け取れるだけでなく、家にいるものの手が離せない場合も安心して荷物を受け取ることができます。
また、仕事帰りや買い物のついでにコンビニ受け取りを利用するなど、できる限り1回で受け取れる方法を選ぶことも大切です。
-可能な範囲でまとめて購入
ECサイトは非常に便利なため、必要なものを都度購入する人が多いでしょう。購入頻度が増えればそれだけ荷物の個数も多くなります。そのため、できる範囲でまとめて購入すれば、荷物の受け取り回数が1回ですみます。荷物を受け取るという用事が多くなるほど面倒に感じやすいため、なにか購入する際にまとめて必要なものを購入することで、ストレスを軽減できるでしょう。
【まとめ】
荷物の受け取りにおいて再配達してもらえることは便利です。しかし、それを支える運送会社やドライバーはさまざまな問題に直面しており、便利な状態が崩れる可能性はゼロとはいえなくなっています。
便利なサービスを受け続けるためには、再配達を減らすための工夫が重要です。宅配ボックスや置き配、コンビニ受け取りなどさまざまな方法で受け取りができるため、できる限り1回ですむよう最適な手段を選択してはいかがでしょうか。
オートロック付きの物件に住む人は難しいと思われるかもしれませんが、セキュリティ面も安心のスマート置き配が広がりつつあります。利用者の満足度が非常に高く、ストレスなく荷物を受け取ることが可能です。
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