適正な利益は必要なんです！

以前、コワーキングスペースを運営している方から面白い（？）話を聞きました。
東北のある中核都市で、行政が主導になって、「ベンチャー企業を応援しよう！」という意思の元、無料のコワーキングスペース（シェアオフィスのようなものです）を作ったそうです。
行政の狙いとしては、ベンチャーの人達が集まったり仕事がしやすい環境を、無償で提供すれば、チャレンジをする人たちがより生まれると思ったのでしょう。
さて、ここであおり食ったのが、すでにその都市で運営していた、以前からあるコワーキングスペースの人達です。
会員から月額1万円程度をもらって、ちゃんとビルオーナーに家賃を支払い、スタッフを配置し、ドリンクを無料にし、薄利ではあるものの、なんとか経営できていました。
ところが、行政が無料でコワーキングを作ってしまったため、解約が相次ぎ、経営が続けられなくなってしまったのです。
結果、昔からあったコワーキングスペースが2，3か所、閉鎖に追い込まれました。
そして、そのビルの1画は空室となり、ビルオーナーにとっても残念な結果となりました。
それから2年後。
行政がやっていたコワーキングスペースは、閉鎖になりました。
理由は、想定よりも利用者が伸びなかったことと、一部の利用者のためだけに税金を使うのはおかしい、そのための予算をもっと有効活用するべきだ、という意見が出たからです。
結果、その中核都市にベンチャー企業が何かをできる場所はなくなりました。
この話を聞いたときに、あぁ、本当に利益を取ろうとしないプレイヤーは恐ろしいな、と思ったものです。
同じような事象は、大企業の参入でもよく見かけます。
中小企業が頑張っている分野に、大企業が、利益度外視で参入し、ある程度、引っ掻き回した後に、「やはり利益が出ない。」といって撤退をしていく。
その結果、当初からその業界を広げようと頑張っていた中小企業はみんな、撤退に追い込まれた後、その業界を広めよう、良くしようという想いをもったプレイヤーがいなくなってしまう。
利益を出そうとしないプレイヤーを、全て否定するつもりはないのですが、利益を出そうとしないプレイヤーの参入によって、業界自体が育たなくなる可能性があることを、よく考えた上で、無利益戦略をとって欲しいと思っています。