クラウド方式?エッジ方式?顔認証システムにおける2つの運用方式
一口に顔認証システムといっても、認証方式には「クラウド方式」「エッジ方式」の2つがあります。
しかし、その違いをご存じの方は多くないのではないでしょうか。
そこで本記事では、2つの認証方式の基礎のご紹介・各認証方式のメリットやデメリットをご紹介します。
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目次[非表示]
- 1.顔認証システムの仕組み・メリットとは
- 1.1.「顔認証」と「顔認識」の違い
- 1.2.顔認証のメリット
- 1.2.1.手ぶらで認証ができる
- 1.2.2.非接触で衛生的
- 1.2.3.セキュリティ性が高い
- 1.2.4.紛失・流出の心配が無い
- 2.認証システムの運用方式
- 3.各方式のメリット・デメリット
- 3.1.端末(エッジ)方式のメリット
- 3.2.端末(エッジ)方式のデメリット
- 3.3.クラウド式のメリット
- 3.4.クラウド式のデメリット
- 4.マンションエントランスでの導入におけるポイント
- 5.マンションのエントランスにおける活用
- 5.1.物件の差別化
- 5.2.入居者の利便性の向上
- 5.3.物件のセキュリティの強化
- 6.まとめ
顔認証システムの仕組み・メリットとは
認証方式の話をする前に、まずは顔認証システムの仕組み・メリットについて簡単にご紹介します。
顔認証システムとは、生体認証の一種です。
カメラで撮影した映像や画像から人の顔を検出し、データベースと照合することで本人確認・認証を行うシステムのことをいいます。システムにはディープラーニングされた人工知能(AI)が利用されています。
認証には、目・鼻・口などの特徴的な位置や顔における比率・顔の大きさなど、顔に関する様々な要素をもとにデータベースとの照合を行います。
認証を行う人は事前に専用の機器やアプリから自身の顔写真を撮影・登録しすることで照合が可能です。
「顔認証」と「顔認識」の違い
顔認証と混同しやすい技術として「顔認識」があります。
顔認識は、画像から人の顔を検出し、性別・年齢・表情(泣いているか笑っているかなど)などを判別する技術のことを指します。撮影した顔の持ち主の属性を把握できるので、店舗などにおけるマーケティング活動などで活用されています。
一方、顔認証は、検知した顔画像の特徴点を基にデータベースと照合し本人確認をするための技術であり、本人確認・なりすまし防止・セキュリティの向上に寄与する技術です。
顔認証システムの仕組み・メリット・活用シーンなど、基本事項を網羅的に学びたい方は下記の記事をご参考にしてください。
《関連記事》顔認証の仕組みとは?活用のメリット・注意点から活用シーンまで
顔認証のメリット
顔認証システムを導入するメリットは、以下のようなものが上げられます。
手ぶらで認証ができる
手を一切使うことなく、カメラに顔を向けるだけで認証できます。
マンションのエントランス・オフィスの入退館などにおいては、わざわざノンタッチキーやICカード等を出して認証する手間が無くなり、非常に快適でストレスフリーです。荷物を持っている時は特にその利便性を実感できるでしょう。
非接触で衛生的
顔認証なら端末に一切触れることなく認証できます。非接触のため衛生的であり、コロナ禍における感染防止対策が求めれる昨今において重要な要素であると言えるでしょう。
セキュリティ性が高い
「顔」という個人個人に異なる要素を鍵にするためセキュリティ性が高まります。
物理鍵・カードキーの場合、紛失・盗難により不正に取得した第三者がなりすまして侵入する可能性があります。また、オフィスにおいては、鍵の貸し借りにより本来入館権限のない社員が禁止エリアに侵入することによる不正も懸念されますが、顔認証がこれらの課題を解決します。
紛失・流出の心配が無い
顔を鍵にしているため紛失の心配がありません。また、パスワードのように第三者に知られて流出する心配もありません。通常であれば紛失・流出した場合、鍵を交換したりパスワードを再設定したり再設定後のパスワードを関係者に周知したりという手間が発生しますが、顔認証であれば心配ありません。
認証システムの運用方式
仕組み・メリットをご理解いただいたところで、2つの運用方式について説明します。
端末(エッジ)方式
顔認証テクノロジーが組み込まれた専用の端末(エッジデバイス)を設置し、その端末上や近くのサーバー上で認証を行う方式です。
クラウド方式
カメラで撮影した画像をクラウド(※1)に送信し、クラウド上のシステムで顔認証を行う方式です。
※1 クラウド:インターネット経由で様々なWebサービスを利用できる環境の総称。
各方式のメリット・デメリット
端末(エッジ)方式のメリット
エッジ方式の大きなメリットは顔認証の速度が速いことです。
クラウド処理や大きなファイルの送信を行う必要が無く、正確な顔認証をリアルタイムに行うことができます。ネットワーク上の外部データにアクセスする際も、暗号化された小さなサイズのデータをエッジデバイスから送信し、データベース上のテンプレートと照合します。そのため、高速な顔認証を実現します。送信するデータが小さいため、通信コスト(ランニングコスト)を抑えることができます。
端末(エッジ)方式のデメリット
専用端末を必要とするため、導入コストが高く、デバイスの更新が必要になります。オフィス等で複数個所に設置する場合、導入コストが大幅に高くなったり構築が大変になったりすることがあります。また、自社でシステムを構築・管理する手間があるため、導入時点で運用面まで考慮する必要があります。
また、端末そのもので顔写真を登録してデータを登録する場合、わざわざその端末のある場所に行って登録するという手間が発生します。
クラウド式のメリット
高額な専用端末が不要で一般的なカメラ(スマートフォンやタブレットなどの汎用機に搭載のカメラ)が利用できたり、自社でシステムを管理・更新する手間が無くなるなどのメリットがあります。導入コストが安く済み、システム提供者側のアップデート等により常に最新のシステムを利用できます。
また、一回の顔データ登録で複数の端末と連携できるので、オフィス・マンション・施設等で複数の箇所を出入りする必要がある場合に便利です。スマートフォンから顔データを登録できる場合、端末のある場所に行かずとも自宅等で手軽に登録する利便性もあります。
クラウド式のデメリット
エッジ方式に比べて認証に時間がかかる・インターネット接続が途切れると顔認証システムを利用できなくなります。顔データをクラウド上に保存するため、信頼のできるクラウドを使用していない場合は流出の懸念が残ります。また、スマートフォンのアプリから顔データを登録する場合、スマートフォンを所有していない人は利用できないため、利用者の属性を考慮する必要があります。
マンションエントランスでの導入におけるポイント
では、マンションのエントランスで顔認証システムを導入する場合、どちらの運用方式を選ぶのが良いのでしょうか。ここでは運用方式を選ぶ際のポイントを紹介します。
入居者の属性(年齢・ITリテラシー等)
検討する物件における入居者様はどのような方々でしょうか。
クラウド方式の場合、スマートフォンの専用アプリから顔写真を撮影してデータを登録します。入居者はスマートフォンを持っているか・アプリからの登録作業は問題無くできるか、この2点を検討する必要があります。
もし上記が難しい場合はエッジ方式での運用を検討するとよいでしょう。エッジ方式の場合、エントランスに設置した端末そのもの・または連携する専用機器で顔写真を撮影するため、手間はかかりますがスマートフォンを使用せずに登録することができます。
顔データの登録・削除作業における手間
エッジ方式の場合、入居者はエントランスの端末にID・パスワードなどを入力し、顔写真を撮影する必要があります。また、管理会社の社員や管理人が専用の端末で撮影をするというパターンもあります。入居者の人数、管理会社社員や管理人の手間を考えた場合、エッジ方式での運用が現実的か否か考える必要があります。特に戸数の多い物件・入退去が多い物件・遠隔地の物件では手間がより大きくなるので注意が必要です。
一方、クラウド式であれば、入居者が自身のスマートフォンでアプリから簡単に顔写真の登録ができます。事前にアカウントを発行しておけば、管理会社社員・管理人の現地での立ち合いや対応が不要になるため、運用における点は非常に少なくなるといえるでしょう。ただし、上述の通り入居者がスマートフォンアプリからの登録が現実的にできるのか検討が必要です。
マンションのエントランスにおける活用
具体的にマンションのエントランスではどのように活用されているのでしょうか。
物件の差別化
最先端のサービスであり、まだ普及段階であるからこそ物件の差別化になります。
入居者の利便性の向上
顔認証による手ぶら解錠により、鍵を出す手間は無くし入居者の利便性を向上します。
物件のセキュリティの強化
複製・流出が無い「顔」を鍵にすることでなりすましを防止し、セキュリティを高めます。
詳細については下記の記事内で紹介しています。
>>関連記事)顔認証の仕組みとは?活用のメリット・注意点から活用シーンまで
まとめ
顔認証システムには、エッジ型・クラウド型があることを紹介しました。
どちらにも一長一短があるため、一概にどちらが良いという判断はできません。
物件の入居者の属性・管理の手間・初期費用と月額費用などを複合的に検討する必要があります。
ぜひ本記事を参考にご検討を進めてください。
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